人気ブログランキング | 話題のタグを見る

声楽家♪立原ちえ子さんのBlog です。立原先生の魅力をお伝えするべく卒業生tsunobueが勝手にはじめたBlogでした。さてさて、最近は、Blogをやる気になった先生から届くメールを元に投稿しています。


by tsunobue
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

音楽に出来ること

立原先生がリサイタルの2部、最後に歌った「下北伝承の旋律による三つの歌」について、プログラムにのっていた文章です。
伝承の旋《わらべ歌》が新しくよみがえるとき
この「三つの歌(どんどはいやどんど・おじょめこじょめ・子守こ歌)は私の友人立花勇氏が長年かかってむつ市全域から蒐集した口頭伝承のわらべ歌51篇のなかから、作曲者今井聡氏が3曲を選び豊かな想像力に満ちた構成を試みてくださった、全く新しい作品である。

教員として学校勤務の傍ら民俗学研究に打ち込んできた立花氏は昭和63年3月鳥沢小学校長を最後に退職し、さあこれからいっそうの研究をと願ったが病を得て平成7年急逝した。東京から通夜にかけつけた私は挨拶の中で彼が蒐集した口頭伝承の昔話の中から、一人オペラになる話を選んで、方言を生かした楽しい作品に仕上げ、むつ市出身の立原ちえ子さんに演じてもらうつもりだと約束したのである。

しかし、様々な理由で一人オペラは成らなかった。私は安易な約束を通夜に参列した多くの人の前で宣言したことを悔いた。申し訳ないと思った。しかし、オペラはだめだったが、この伝承の旋律「わらべ歌」を、今のこの時代に日本の歌としてよみがえらせる事が出来ないだろうかと思った。

私は作曲家今井聡氏(立原さんと同じむつ市のご出身で、東京音楽大学に学び作曲を専攻された)にこのわらべ歌30ページ分のコピーを送って、私の意図と願いと“基本的には全く自由なイメージで”という言葉を添えてお願いした。
~中略~
そしてお願いして半年、私の手元に新しい生命を注ぎ込まれた歌が届いた。下北の伝承の旋律が作曲家今井聡さんによって、精緻で華麗なピアノ伴奏を伴って立ち上がり、それをソプラノ立原ちえ子さんが歌うという私の夢が叶えられたのである。こんな嬉しいことはない。石井丈夫
これが、音楽の素晴らしいさではないかと思います。この曲が歌われるとき、いつでも立花さんは聞いてくれている。舞い降りてくる場所が出来る。この曲がある限り、立花さんという人がこの世界に存在して、様々な人と関わったことの証となる。石井丈夫先生と立花先生の縁があったからこそ、この曲が生まれ、この曲が演奏されるたびに、あらたな縁が生まれていく。
きっと、一人オペラよりもこの形が、より立花さんが望む形になったに違いないと私は思いました。そして、私もこの縁の仲間入り。

これが音楽に出来ること。
by tsunobue | 2004-11-23 01:34 | tsunobue